車を購入する際に利用するローンには、銀行などの金融機関が提供するマイカーローンと、ディーラーで申し込むディーラーローンがあります。両者の最も大きな違いは金利水準であり、この差が返済総額に大きく影響します。

三菱UFJ銀行によれば、銀行のマイカーローンは一般的にディーラーローンよりも低い金利で借り入れできます。マイカーローンの金利相場は年1~3%台が主流となっており、低金利での借り入れが可能です。
ただし、適用される金利は審査内容や取引状況によって変動するため、提示される金利幅の最低金利が必ず適用されるわけではありません。金融機関によっては、給与振込口座として利用している場合や住宅ローンの取引がある場合に金利優遇が受けられるケースもあります。
また、ネット経由での申し込みを優遇する銀行も増えており、対面での手続きよりも低い金利が設定されることがあります。
ディーラーローンの金利は、銀行系マイカーローンと比較して高めに設定されています。京葉銀行の情報では、ディーラーローンの金利は年3~7%台となっており、マイカーローンとは明確な差があります。
ディーラーローンはディーラーと提携している信販会社やクレジットカード会社が提供するローンで、車の購入と同時に申し込めるという利便性がある反面、金利負担が大きくなる傾向にあります。
決算期や特定車種を対象としたキャンペーン期間中には、金利が年1%台に優遇されることもありますが、これは期間限定かつ対象車種が限定されるため、すべての購入者が利用できるわけではありません。
金利の違いは、返済総額に大きな影響を及ぼします。具体的な例として、300万円を5年間で借り入れた場合を比較してみましょう。
| 項目 | マイカーローン(年3%) | ディーラーローン(年7%) |
|---|---|---|
| 借入金額 | 300万円 | 300万円 |
| 毎月の返済額 | 約5万3,900円 | 約5万9,400円 |
| 返済総額 | 約323万円 | 約356万円 |
| 利息支払額 | 約23万円 | 約56万円 |
上記のように、同じ借入額でも金利が4%異なるだけで、利息の支払いに約33万円の差が生じます。
この金額差は決して小さくなく、オプション装備や車検費用など、車に関する他の費用に充てることができる金額です。数パーセントの金利差でも、車両価格が高額であるため返済期間全体を通じると大きな負担差となって表れるのです。
そのため、金利水準は慎重に比較検討する必要があります。

マイカーローンとディーラーローンの金利に差が生じるのには、明確な理由があります。ローンの提供元や審査基準の違いが、金利設定に直接影響しているのです。
マイカーローンは銀行や信用金庫などの金融機関が提供するのに対し、ディーラーローンは信販会社やクレジット会社が提供します。
銀行は預金という低コストの資金調達手段を持っているため、相対的に低い金利でローンを提供できる環境にあります。一方、信販会社は銀行ほど低コストで資金を調達できないことに加え、ディーラーへの手数料支払いなども金利に反映される構造となっています。
また、ディーラーローンでは完済まで車の所有権がディーラー側に残るという担保的な要素があるものの、それでも金利は高めに設定されています。
一般的に、ローン商品は金利が高いほど審査に通りやすい傾向があります。マイカーローンは審査基準が厳しく、収入や勤続年数などを詳細に確認されるため、審査には数日から1週間程度かかることもあります。その分、金利は低く抑えられています。
対してディーラーローンは、車の購入手続きと同時に申し込みができ、審査結果も最短で当日にわかるなど、比較的審査に通りやすい特徴があります。この審査の通りやすさと引き換えに、金利が高めに設定されているという側面があるのです。
ただし、審査が比較的通りやすいという特徴は、申込者にとって一律に有利というわけではありません。
低金利で借りられる可能性があるのであれば、マイカーローンの審査に時間をかける価値は十分にあります。返済期間が長くなるほど金利差の影響は大きくなるため、総返済額を抑えることを優先するなら、審査に必要な時間や手間を考慮しても、低金利のマイカーローンを選択するメリットは大きいといえるでしょう。

マイカーローンとディーラーローンを比較する際には、金利水準だけでなく、金利のタイプや優遇制度についても理解しておくことが重要です。これらの要素によって、実際の返済負担が変わってくるからです。
ローンには「固定金利」と「変動金利」の2種類があり、マイカーローンでもディーラーローンでも選択できることがあります。
固定金利は借入時に決定した金利が返済期間中ずっと変わらないため、毎月の返済額が一定で返済計画が立てやすいというメリットがあります。一方、変動金利は市場金利の動向に合わせて定期的に見直されるため、金利が上昇すれば返済額も増加する可能性があります。
ただし、変動金利は固定金利よりも低く設定されるのが一般的です。どちらを選ぶかは、金利上昇リスクをどう考えるかによって判断が分かれます。
| 金利タイプ | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 固定金利 | 返済期間中金利が変わらない | 返済額が一定で計画が立てやすい | 変動金利より金利が高め |
| 変動金利 | 市場金利に応じて見直される | 固定金利より低い金利 | 金利上昇時に返済額が増える |
マイカーローンでは、各金融機関が独自の金利優遇制度を設けている場合があります。給与振込口座として指定している銀行であれば、年0.2~0.5%程度の金利引き下げが受けられることもあります。
また、住宅ローンを利用している銀行でマイカーローンを組むことで優遇金利が適用されたり、インターネット経由での申し込みで金利が下がったりするケースもあります。これらの優遇制度を活用することで、提示されている最低金利に近い水準で借り入れできる可能性が高まります。
ディーラーローンにもキャンペーン金利が設定されることがありますが、対象車種や期間が限定されていることが多いため、条件をよく確認する必要があります。
金利優遇制度は、申し込む前に各金融機関のウェブサイトや窓口で詳細を確認することをお勧めします。複数の条件を満たすことで、さらに金利が下がる場合もあります。わずかな金利差でも長期間の返済では大きな差となるため、利用できる優遇制度は積極的に活用すべきです。
ローンシミュレーションツールを使って、金利の違いによる返済総額を事前に確認しておくと、より具体的な比較ができるでしょう。